映画「誰も知らない」
1980年代に実際にあったネグレクトの事件を元に製作された映画。
置き去りにされた子どもたち4人の、生きる日々。手を差し伸べる大人は、この作品の中にどこにもいなかった。
次第に電気ガス水道も断たれてしまう一室で、母はもう戻ってはこないことを悟りながらも長男の明は弟妹たちと懸命にただただ日を繰り返す。やりたいこと、友達、学校、誰かに名前を呼ばれるということ…それらから遠い遠い場所に置かれてしまった子どもたち。
世の中の罪は、とても重い。
もしも当時よりも児童虐待に対して敏感になってきたこの時代だったら、大人は気が付いたのだろうか。
見て見ぬ振りを、しなかっただろうか。
観ていて、保護されて衣食住が確保されて欲しいという思いに溢れたが
保護されたら4人が一緒に暮らせなくなる、と助けを求めることを明は拒絶していた。
答えの出ない問いが頭の中をぐるぐると回り続ける映画だ。